『人間椅子』が面白い!日本のメタラーよ、頑張れ〜
今回は、日本の芸能に対する批判と、どうすれば向上するか、という私見を書きます。
東京オリンピックが終わりました。閉会式がアイデア不足。出てた人も若すぎて、円熟味がなく、魅力に欠けた。
未熟な演芸を、世界に披露してしまった。
NHKのTV番組向きの演出で、オリンピックレベルじゃない。
MIKIKOという演出家のアイデアが、電通トップの66歳男に潰された、と話題になっているけど、一人の演出家だけに頼るのも、よくない。オリンピック開催するなら、MIKIKOレベルの才能の人間を、4−5人は抱えていないと。
↓ Twitterで、こう書いていたプロデューサーがいた。
『何故あの様な開会式と閉会式になったのか、キチンと検証されるべき事だと思う。「失敗の本質」を見極めないと次の何かに繋がっていかない。わが国の文化が崩壊する。アニメとゲームしか残らない。』
YouTubeでは、「みのミュージック」氏が、開会式に落胆してました。みの氏はシアトル生まれで、アメリカ人と日本人のハーフの音楽家。でも日本古来の歌謡も研究し、日本音楽に精通しているようだ。「日本の良さが出ていなかった」と、がっかりしてました。
今の日本には、世界レベルの目を持っている芸術ディレクターが、少ない!
のだと思う。
オリンピックの大会自体は「アスリートの領域」で、アスリートが主役です。でも、開会式•閉会式は「芸術家の領域」です。
私はニューヨークのメトロポリタン•オペラで、モーツァルトの『魔笛(まてき)』や『カルメン』『椿姫』など、オペラ作品をいろいろ見た。海外の舞台美術家は、劇場内の限られた空間で、斬新な演出をする。特に『魔笛』が、素晴らしかった。
この『魔笛』は、舞台演出家ジュリー•テイモアの制作です。彼女は、NYのブロードウェイ『ライオン•キング』の舞台美術で、トニー賞を受賞した演出家です。
主人公は、なぜか日本の着物をモチーフにした衣装で、歌舞伎のようなメイクをしていた。下の写真の、手動で動く鳥の上には、実際に子供が3人乗っていて、鳥の上で少年がボーイソプラノを歌っていて、びっくりした。恐怖を感じるぐらい、ゾクゾクする美しさだった。↓
舞台演出家は「壮大なビジョン」を持っていることが分かる。
日本は、大がかりな空間演出をする、舞台芸術家をもっと育てるべき!海外へ勉強に行かせて、帰ってきたらちゃんと仕事があるようなシステムを作らないと。
当たり障りのない、ゆるい「お笑い系舞台」ばっかりやってるから、いざという時に、世界レベルの演出をする才能が、足りない。これに尽きる。
と思ってたら、バレエダンサーの熊川哲也が芸術監督を務める、K-balletの『シンデレラ』の舞台のCMが流れてきた。魔法のように美しい。熊川哲也は、英国のロイヤル•バレエ団で活躍してたけど、オリンピック閉会式を、どう思ったんだろう。
去年12月に書いたブログで、アカデミー賞衣装デザイン賞をとった石岡瑛子さんは、北京オリンピック開会式で衣装デザインをした、と書きました。↓ こんなに素敵な光景だった。
日本の才能が、他国のオリンピックだけに使用された現実は、悲しい。
石岡瑛子さんはもう亡くなっているけど、東京オリンピックの閉会式を見たら、「何だよ、あのワカメ!?」って怒ったかな?(←見た人には分かる。)
ところで、私の友達に実際に起こったことだけど、海外で活躍して戻って来た日本人を、わざと無視をするという現象も、了見の狭い日本社会では起こる。日本は、海外で活躍してた才能を、ちゃんと受け入れる体制を作らないといけない。
嫉妬している場合じゃないよ。
日本の音楽家、ダンサー、美術家は、どんどん海外へ出て、よくも悪くも、世界レベルの厳しい反応を、肌で感じるべき。日本国内だけでゆるく生きてるから、海外のレベルがどんなものなのか、判断できない、経験不足な人が多い。井の中の蛙になっている。
ところで私は、フランスから戻ってきてから、メタル•ゴッドの伊藤政則(セーソク)氏のラジオ番組を聴いてます。政則氏は、日本が誇るヘヴィメタル評論家です。
政則氏は、話が奥深い!最近はピンク•フロイドの話で盛り上がっている。彼は、前回のブログに書いたバンド『マネスキン』を気に入っていて、毎週かかっている。メタルファンは、推しのメタルバンドの新譜を聞くのに忙しく、人生を楽しんでいるようだ。
日本のメタラーは、楽しそうだな〜
政則氏の番組で、『グランド•カウントダウン』というハード系ロックバンドの人気投票をやってます。その中に、日本の『人間椅子』が入っていた。「人間椅子?大昔、インディーロック雑誌で見かけたけど、まだやってたの?!」と、驚いた。昔はネズミ男みたいな衣装だった。
人間椅子は、50代半ばになり、今は着物で演奏して、海外で人気らしい。7月に新曲「杜子春(とししゅん)」が流れた。
歌詞が面白くて、キャッチーで素晴らしい!「芥川龍之介と宮沢賢治がヘヴィメタルをやったら、こうなりました」という感じ。結成30周年記念の映画も出た。
その頃、オリンピック開会式で参加してたミュージシャンの小山田圭吾が、過去の虐待騒ぎで辞退して、問題になっていた。SNSでは、「マツケンサンバ」を出せばいいんじゃない?とか、いろんな意見が出ていた。
というか日本、長年、坂本龍一や小山田圭吾を頼ってきて、彼らに辞退されたら適当な人材がいないって状況は、ヤバくないか?
私は、「人間椅子でいいんじゃね...?日本のエレメント満載だよ。」と思っていた。でも「杜子春」はコロナ禍の悲劇を歌ったような歌なので、NHKは無理。
8月に新アルバムが出て、「杜子春」のMVが発表されました。↓ お化けじゃないよ。
グラフィック•デザインも秀逸。MVが発表された途端、海外のメタラーから「素晴らしい!!」と絶賛されている。「メタルの"ツボ"」を押さえた音で、歌詞は純和風という、面白い楽曲になってます。
『人間椅子』はアングラ暗黒劇団みたいな要素があり、キャラクターに個性があるけど、もう一つ、政則氏の番組で紹介されている、『OUTRAGE(アウトレイジ)』 という名古屋のバンドも、楽曲が良い。彼らも海外で人気らしい。こちら↓
気になるのは、『人間椅子』も『OUTRAGE(アウトレイジ)』も、その他のメタルバンドも、1980年代から活動していて、メンバーは50代になっている。後継者はどうなってる?
20代30代の人、何やってんの?
見た目やルックスが面白くても、MVを見てみたら、曲が甘ったるくて、海外ではウケない曲調のバンドが多い。
10年ほど前、志磨遼平(しまりょうへい) をNYからオンラインで見て、「おお!いい感じのロックスター!こんな感じの人が何人も出てくればいいのに!」と、日本のロックシーンに希望を見た。
その時は「志磨遼平みたいなロッカー、増えてくれ〜!」と思ってたけど、10年たって日本に戻ってきても、全然増えてなかった。音楽性も、ちょっとポップすぎる。マーク•ボランのT. Rex みたいな音楽かと思ったけど、そうでもない。
なんか、ここら辺のバンド、惜しい。
さて、NYにいた時、ニュージャージーのインディーラジオ局を聞いていた。ある日、インディー音楽を流す番組で、日本語の曲が流れてきて、「日本人!」と驚いた。渋くてかっこいい女性の声の歌。
この人は誰だろう?と思って、ラジオのDJが話すのを待っていたら、「Maki Asakawa」と言った。
浅川マキ!?
浅川マキのことは、インディーロック雑誌で見たことがあり、知ってはいたが、曲は聞いたことがなかった。浅川マキは、1942年生まれで、2010年に67歳で亡くなった、日本のジャズ•ブルース歌手です。私と同じ石川県の出身だった。
20年間ニューヨークで暮らして、ラジオで日本人の曲がかかったのを聞いたのは、浅川マキだけだった。ニュージャージーのラジオ局に響く、浅川マキの声。かっこいい。
ちなみに、坂本九の『上を向いて歩こう』は、アメリカのスーパーでガンガンかかっている。アメリカの60-70代の世代は、あの曲はアメリカの歌だと思ってるだろう。
『上を向いて歩こう』の作曲家の中村八大(なかむらはちだい) は、ジャズピアニストだから、やはり海外では、ジャズ•ブルース歌手、ジャズピアニストなどの、ジャズ系のミュージシャンが、才能を発揮しやすいのかな。
とにかく、才能ある若者は、どんどん海外に進出して、挑戦すればいい。
日本人メタルのギターテクニックは海外で高く評価されるので、若い世代のメタラーのロックバンドは、海外を目指していって欲しい!
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