パリとニューヨークで思考する

長年NYに暮らし、パリに住み、日本に戻ったアーティストの忘備録。

日本漫画家さんのパリ個展とアーティストのアトリエ訪問

芸術の秋の10月は、ギャラリー巡りや、オープン•スタジオでアトリエ訪問をしていました。

パリ11区にある『Galerie Arts Factory ギャルリー•アーツ•ファクトリー』で、日本人の漫画家•エルド吉水さんの『RYUKO 龍子』の個展オープニングがありました。ここは私の好きなアート本屋ギャラリーで、以前、別のアーティストの版画を購入したことがあります。

『Galerie Arts Factory』27 Rue de Charonne, Paris

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Galerie Arts Factory

エルド吉水さんは日本に住んでますが、海外で大人気なようです。長年、彫刻家だったのが、10年ほど前から急に漫画を書き始め、漫画本『RYUKO 龍子』を描き上げたそうです。日本の出版社に頭を下げて売り込むことはせずに、自分で自費出版で本を出して、中野の書店「まんだらけ」に置いてもらっているらしい。

パリで盛況なオープニングをやっているのに、この個展も、日本のメディアには全く知られていないようです。ご本人の承諾済みで書いてます。

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エルド吉水さん

フランスの出版社に何度も売り込んで、ついに出版されて欧州で人気を博し、ドイツ語やイタリア語でも出版されているそう。フランスはバンド•デシネ (漫画 B.D.) が盛んなので、日本的な漫画はフランスで受けたようです。

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『RYUKO 龍子』は、ボディスーツを来てバイクに跨ったヤクザの娘•龍子が、裏社会で闘争する物語。絵を見ていると「『ルパン三世』の峰不二子みたいだな」と思って本人に聞いてみたら、その通り、峰不二子のモデルと言われる60年代のマリアンヌ•フェイスフルをイメージしているそう。

松本零士が好きで...」と言うので、「あ、メーテルっぽい」と言ったら、ズバリそうだったみたいで、日本人にお馴染みなエレメントが散らばっているようです。タランティーノの映画『Kill Bill キル•ビル』っぽくもある。

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どう見ても不二子ちゃんとメーテル

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エルドさんは、欧州のコミック•フェスティバルに出展して、ファンを増やしていったそうです。日本人で漫画家を目指している人は、日本の出版社にペコペコ頭を下げたりせずに、いい作品を描いているなら、海外を目指してみてはどうか?と思います。

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私は、つげ義春の漫画や『はだしのゲン』を、ニューヨークの本屋で読みました。日本の本屋では一度も見たことはなかったけど、NYのマンハッタンの本屋『Strand Book Store ストランド•ブックストア』で、初めて『はだしのゲン』を見ました。ピカソのデッサン集が並ぶようなアート本の一角に、平積みされてました。海外では、ピカソのデッサンも、つげ義春も『はだしのゲン』も、アート作品として扱われます。

↓ パリの別の本屋のショーウィンドウにあった、楳図かずおの『おろち』(左)

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アングラ系の個性的な漫画を描く人は、日本の編集者に偉そうな顔をされて才能を潰されるぐらいなら、海外の出版社に売り込んでみるのも、いい方法です。

ビジュアル構成に自信ある日本人は、海外を目指せ!

 

別の週には、フランス人アーティストたちのアトリエ訪問に行って来ました。パリ郊外のモントレイユで開かれたオープン•スタジオです。

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パリ郊外なので、モントレイユの駅前は移民が多く、アフリカ移民がウロウロ集まっていて、一見、あまり治安が良いようには見えない。でも、アトリエが集まるエリアまで来ると、急に、白人しか見かけなくなる。まるで、白人だけが住んでいる街のよう。

以前も『パリ20区•愛しのシャロンヌ』のブログに書いたけど、これが、パリの不思議。移民と、白人フランス人が、全く別れて行動•生活している。関心の対象が、全く違うのだと思う。移民は、芸術に興味がない。

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アトリエがたくさん集まる施設。ほぼ白人だけの世界です。

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アーティストの作業場。

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私が好きなアーティストのアトリエ。

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絵本のイラストレーターのアトリエ。

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驚いたのは、フランス人アーティストは名刺を持っていないらしく、いくつかの部屋で、名刺も葉書も置いてないので、アーティストの名前が分からないことがありました。自分の売り込みをするのに興味がないのかな?

ニューヨークでは、アトリエの入り口には、必ず名刺や葉書があるよ。名刺があれば、帰宅してからウェブサイトをチェックできるので、良い宣伝になる。

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せっかく「この人の作品いいなー」と思う人がいたのに、名前が分からなかった。アーティストは2−3人で部屋を共有しているので、名刺がないと、誰の作品なのか分かりません。

名刺は、置いておくに限る。

私が通ったNYの美術大学パーソンズでは、授業で「名刺を作れ!」と言われて、名刺を作品の横に置いておくのは、必須条件でした。そのおかげで後に、卒業制作展を見に来たアートディレクターから連絡があって、NYで就職しました。

誰が見に来るか、分からないよ。

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フランス人アーティストは、絵を宣伝するというよりは、見に来てくれた人とワイワイおしゃべりする方が、好きなようだった。「自然体」でサラッとしているのが、好きなんだろうか?

という訳で、今回は、アーティストの作品の売り込み方について(?) 語りました。日本のアングラ系ビジュアル画家は、海外で頑張れ〜!

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