パリとニューヨークで思考する

長年NYに暮らし、パリに住み、日本に戻ったアーティストの忘備録。

Netflixの魔術師ドラマ『ウィッチャー』感想。面白いよ~!

ツイッターはUKの人気トレンドが出るようにしてあるんだけど、12月20日の夜、"The Witcher"と"Henry Cavill" がイギリスのツイッターで話題になっていた。「珍しくヘンリー•カヴィルがトレンド入りしてるぞ。」とチェックしてみると、みんな口々に「ヘンリー•カヴィルは完璧なゲラルトだ!」と絶賛している。

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"The Witcher"??ゲームもしないしファンタジー小説も読まないので知らなかったけど、大人気ゲーム『ウィッチャー』が実写ドラマ化されて、12月20日Netflixで配信スタートしたらしい。原作はポーランドの小説家アンドレイ•サプコフスキで、1990年代に本が何冊も出版され、話は完結している。ウィッチャーとは、モンスター狩りを生業とする、スラブ神話の魔法剣人の話。

そういえば前日、ヘンリー•カヴィルと女優たちが華々しくプレミア会場にいる画像をオンラインで見た。あれだったのか、と思い出した。魔法使いのドラマだとは思わなかった。

私はヘンリー•カヴィルのことを、失礼ながら「残念な俳優さん」だと思っていた。綺麗な顔をしているのに、出演する映画が、ティーンが喜ぶレベルのアクション•ムービーばかり。見た目も隙がない感じでキッチリしていて、面白みに欠けていた (←ヒドイ!)。イギリス人なのに『スーパーマン』みたいな退屈なアメリカ映画に出ちゃって、良さが活かされてないな〜、惜しい、と思っていた。

今回ツイッターで、『The Witcher』を鑑賞した人たちが興奮に沸いていた。その後10日ほどで、このドラマは世界で一番人気のTVシリーズになった。Netflixは入ったことがなかったけど、『ウィッチャー』を見たくて入会してしまった。

 

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ヘンリー•カヴィルの剣士ゲラルトっぷりが素晴らしい!影のある孤高の魔法剣士のカリスマが全身から滲み出ている。今までのクリーンなイメージと違って、汚れ役。汚れた役の方が魅力が増している。このシリーズが続けば、カヴィル=ゲラルトのイメージが定着しそう。

彼自身、かなりオタクなゲーマーで『ウィッチャー』のゲーム好きで、噂を聞きつけて誰よりも先にクリエイターに接触し、執拗に連絡し主役を勝ち取ったとか。ゲラルトになりきるために衣装を自宅に持ち込んで、衣装を着たまま寝ていたらしい。

 

スーパーマンも『The Man from U.N.C.L.E.』も興味なかったので、ヘンリー•カヴィルの映画/ドラマをまともに見てなかった。( 訂正:昔『THE TUDORS 背徳の王冠』を見てた。) 銀髪のウィッグをつけてゲラルトとして動いているのを見て、尋常ではないレベルの顔の良さに驚いた。

ヘンリー•カヴィルの顔が異次元。

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特にこんな魔術系のドラマでは、奇抜な顔の脇役を採用したりするので、画面の中で他の俳優たちと並ぶと、ゲラルトの顔立ちの良さが浮き彫りになる。もはや、ゴツい少女漫画。こんなゴリゴリで筋肉隆々な少女マンガは存在しないけど。ドラマの中で、ゲラルトが過去に負った傷を「この傷はどうしたの?」と聞かれたりするが、誰も「おい、お前のその整いすぎた顔はどうなってるんだ!?」と問いたださない。

 

ゲラルトは冷酷に人を切るカッコつけた剣人なのかと思ったけど、違った。無駄な殺戮はしない。誰が善人かを見分けるまで剣を抜かない。実力があるのに威張っていない。「ウィッチャーには感情がない」とあるけど、ゲラルトは情が厚い人だと感じた。アンドレイ•サプコフスキの原作がそうなのか、ヘンリー•カヴィルが醸し出す雰囲気がそうなのか分からないけど、人情あるウィッチャーだった。

ドラマは、剣士ゲラルトと、魔法使いイェニファー、そしてシントラ王国の王女シリの、3人の人生の物語が交差する。3つの異なるストーリーが展開して、違う時代のシーンが次々と登場し、かなり混乱すると聞いていたので覚悟して見たけど、それほど複雑ではなかった。シリーズ1では、主に魔法使いイェニファーの生い立ちが語られ、次のシリーズ2では、剣士ゲラルトの生い立ちが明らかになるとのこと。

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ゲラルトが恋に落ちる魔女イェネファー役に、インド系の新人女優のアーニャ•シャロトラが熱演しているんだけど、このアーニャの自我を滅した体当たり演技がすごい。「この女優さん、ここまでやっちゃって大丈夫?こんな役しか回ってこなくなったりしないのかな?」とか不安になるぐらいの、役への身の捧げっぷり。イギリスの映画賞かどこか、彼女に新人賞あげて〜。

『ウィッチャー』は「ゲーム•オブ•スローンズ」と比較されてたので、てっきり、サドで残虐な物語なのかと思っていたけど、全く違った。GOTと一番違うのは、コミカルで笑えるシーンがあるところ。まるでイギリスの有名なコメディ『モンティ•パイソン』みたいな、アホらしくて脱力するお笑いポイントがところどころ出てくる。

ゲラルトにつきまとう吟遊詩人ヤスキエルと、主人公ゲラルトのやりとりが、ボケとツッコミで面白いのだ。馬のローチまでもが、口数少ないゲラルトが、好きな女性イェニファーの前で黙ってグズグズしていると、鼻でゲラルトをこつく。伝承民話っぽいエレメントがある。 

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もちろん剣士の話なので、首が吹き飛ぶ血だらけの剣の殺陣シーンはあるし、王国の滅亡をかけた戦争も出てくるので、血なまぐさい殺戮もある。でも戦争というのは非業で残酷なものなので、阿鼻叫喚な殺しの場面が描かれるのは当然。その代わりGOTのような、不必要で不快な拷問シーンとか、不必要なレイプは、一切ない。

さらに、奇妙なセックスと、女性の裸体とオージー(集団セックス)、ゲラルトの裸体、そして血が吹き出すスプラッターな殺戮シーンがあるので、16歳以上指定となってます。「ゲラルトが風呂に入るシーン」は、水戸黄門の「由美かおるの入浴シーン」のように、このドラマの定番になる予感。

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総指揮クリエイターは、女性のローレン•シュミット•ヒスリッヒ。そして制作プロデュースを、ポーランドイラストレーターのトメック•バギィンスキが担当している。バギィンスキは元々、ゲームの『ウィッチャー3』の制作に関わったアニメーターであり、ヴィジュアルや世界観があるみたい。女性クリエイターとポーランド人アーティストが制作しているせいか、一見厳しい物語の中にも、どこか牧歌的な「優しさ」が存在している。男尊女卑で権力闘争のGOTとは違う。

 『ウィッチャー』シーズン1は8話構成で、8話はグワーッと最後のフィナーレが盛り上がったところでプツッと終わる。「えっ!?今ので終わり?えっ、イェニファーはどうなったの??」と驚いて、ドラマの中のゲラルトとティサイア女史みたいに、「イェニファー!」と心の中で叫んだ。ああ、続きが気になる。

 

 

シリーズ2は2021年春に放映予定。その間に、個性的な俳優さんをキャスティングして、もっと面白い作品を作ってくれ~!GOTと格差をつけるために、例のコミカルなお笑いポイントに磨きをかけて、もっと笑えるようにして欲しい。

というわけで、剣人ゲラルトと、彼と運命的につながり合っている魔女たちの戦いの物語『ウィッチャー』はおすすめです!ヘンリー•カヴィルの、劇画の主人公のような男前っぷりも、見ものです。イギリスの他の人気俳優たちから出遅れた感があったカヴィルさんだけど、運命の当たり役!めでたい!!

 

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